舞台沼って怖いね


私が高野洸くんに出会ってからまだたったの2年。正しくはまだ2年経ってない。好きになることは偶然の連続が必然になるのかな、なんて思うように最近はなってきた。



10年好きなバンドのシドを好きになったきっかけもただたまたま見ていたテレビでものすごく惹かれたからだった。


高野くんに出会ったのも同じだと思う。



舞台にハマったきっかけを作ってくれたのは米原幸佑さんと谷口賢志さんが出ていた「どうしても触れたくない」だった。原作の漫画が好きだった私は当時BLの実写化なんて許せなくて、興味すらなかった。仕事帰りに立寄ったTSUTAYAで新作コーナーに並ぶどう触れを見て物珍しさに友人に写真を送った。


ネタになるかもしれない、思ったよりいいかもしれない、そんなやり取りを繰り返して私は怖いもの見たさにそのDVDを借りた。その日の内に再生して目に映ったものは想像の遥か上だった。


テレビでしか見たことない俳優さんや女優さん達とは違う、名前も普通の人だとピンと来ないであろう俳優さん2人が物凄く綺麗で可愛くて、かっこよかった。そこからの私は簡単に落ちて行って米原さんのソロライブに舞台に、何でもかんでもいけるものは手当たり次第に行った。楽しくて、毎日がキラキラしてた。舞台の上に立つ好きな人ってこんなに素敵なんだと友達に目を輝かせながら語った。



でも、不意に何かの糸が切れてしまった。

会いに行こうと思ってとったチケットも紙屑になった。着ていこうと張り切って買った服もゴミになった。何もかもが嫌になってしまった。自分でも驚くほどその瞬間は不意だった。


好きだった俳優さんにはなんとなく顔と名前を覚えてもらえた頃だと思う。1番楽しくて、一番幸せな時だったはずなのに、何が原因かなんてわからないまま会いに行くことが苦痛になった。


その話をした友達は「頑張り疲れちゃったんだよ、ゆっくり休んで行きたくなったらまた行こう!」と、馬鹿にすることも無く話を聞いてくれた。その言葉通り私は多分疲れていたんだと思う。今冷静に考えたらそこまでする意味もないのに必死に自分をアピールし続けて、気づけばどこかで疎まれて、自分は名前も顔も知らない人にヒソヒソ話をされる。私が楽しめる空間は自分自身で無くしてしまってた。



それでも友達は私を舞台に誘ってくれた。好きな人が出ている舞台の情報は必ず教えてくれた、私がまた楽しめるようになるのをずっと待ってずっと助けてくれた。でも自分でもびっくりするくらいその日は来なかった。



そんな時に犬夜叉の舞台のHPを見た。

原作が大好きだったから興味はあったけど、チケット戦争に参加する気は起きなくてライビュの日に休みが被っていたらライビュのチケット取ってみようかな、くらいの気持ちでチケットをとってライビュを観に行った。


スクリーンの向こうの熱気や拍手の音になんで私は今映画館からこれを見ているのだろう。なんであちら側に行くことを最初から辞めてしまったんだろうなんて思ってしまった。楽しくて楽しくて、ずっと画面を見つめてた。友達はこの話をしたら笑って私が舞台を嫌いになるわけがなかったんだよって言ってくれた。でも、好きだった人達の空間にはもう行きたくないなって思ってしまった。


原作ファンだったから行きたかったナルトの舞台に行くことも出来て、そこで流司くんに出会った。理想のサスケで本当にかっこよくて、彼が加州清光をやっているんだ、って教えて貰ってキャラの違いに驚いたりもした。


そんな時に友人が前々から誘ってくれていたミュージカル刀剣乱舞のDVDをみせてくれた。今度一緒に行こうね、と言われていたのを断り続けてしまっていたから嬉しかった。友人達は2人やそれぞれの友人と観に行く機会も多いだろうなと思いながらチケットの協力くらいはするよなんて言っていた。



協力して取れたのがつはもの公演だった。友人達2人に行ってもらおうと取れた報告をした時にたまたま1人の友人がその日は行かれないことを伝えてくれた。そのままチケットを任せてもよかったのに私の口から出た言葉は「私でよければ一緒に行くよ」だった。そんな2017年の11月8日、私は初めて膝丸を演じる高野洸くんに出会ってそのまま好きになった。


つはものを観に行く前に行かれない友人が「膝丸とか好きになりそうだね」なんて言っていたのを、まぁかっこよさそうではあるなくらいに捉えていた。高野くんのTwitterも見ていたけど年下の可愛らしい子だなとしか思ってなくて、黒髪の真面目そうな青年は今まで好きになったことがないからそれくらいの気持ちだった。


そんな私の考えを全部ぶち壊して行った。

つはものを観劇した私の目に彼だけがキラキラ光って、釘付けになった。びっくりするくらい単純に、友人の言った通りになった。そこからの日々はまた毎日がキラキラしてた。何もかもがかっこよくて可愛くて、初めて写真集のイベントでツーショットも撮った、握手してお話もしてくれた、真面目で優しくて身長の低い私に合わせるように屈んでくれた。


それでもどこかで噂というのは私を攻撃してきて、勝手に嫌になったり不安になったりすることもあった。そんな気持ちを抱えて会いに行くとそんな気持ちを忘れさせてくれるくらいかっこよくて素敵な姿を見せてくれる。どんどん好きになった、もっと好きになりたいって思った。彼は私の楽しい毎日をもう一度復活させてくれた。


初めてのFC開設に立ち合えたこと、写真集の発売、主演朗読劇、ファンミーティング、CD発売。その全てが彼が私に見せてくれた大きくて綺麗な夢だった。彼がやりたいと思うことなら全力で応援するし、支えられるようなファンになりたいって思いながらの毎日が楽しくて。双騎を観た時に「あぁ、高野くんを好きになって応援し続けてきて本当によかったな」ってたった2年しか応援してないくせに心から思えた。それほどまでに高野くんはかっこよく強く大きくなってた。



もし、あの日、私が仕事帰りにTSUTAYAに寄らなかったら?どう触れを借りるという後押しがなければ?嫌になった後に救い出してくれる存在がなかったら?


私は今仲良くしてもらってる方達にも会えないし、高野くんを応援することもなかったんじゃないかと思うと思ったより怖かった。怖いと同時に今すごく全ては偶然という名の必然っていう言葉が脳裏によぎる。偶然でも必然でもどちらでも、私はこれからもきっとどんどん高野くんを好きになると思った舞台沼の恐怖。